私史上、最も運転が楽しいと思えたクルマはコレ、未だ超えるものなし
- クルマ大好きの私史上、最も運転が楽しいと思えたクルマ。未だ超えるものなし!
- 豊田社長も本気になったトヨタ86開発ストーリー
- 感動の試乗が先輩の快諾により実現
- 驚愕のハンドリングと官能的なエキゾーストサウンド
- コレはまるで生きているかのようなオートマチックトランスミッション
今も昔もクルマ大好きの私が、私史上、最も運転が楽しかったクルマは何?と問われたら即答します。
2代目ハチロクです。
1代目のハチロクは1983年デビューなものの、漫画の主人公が駆る相棒として人気に火がつき、今やプレミア価格で取引されています。
私が推す1番は、そのハチロクの2代目になります。
デビューは2012年ですから、もう10年を経過してますが、ハンドルを握った時のあの衝撃は今も脳裏に焼き付き、コレを超えるクルマは未だなし、です。
当時の私は自動車販売会社の人事採用担当をしていたので、この記事はマイナビの企業紹介のところでもしばらく掲載をしていました。
それではどうぞ。
クルマ大好きの私史上、最も運転が楽しいと思えたクルマ。未だ超えるものなし!
私、幼児期のミニカーに始まり、小学校に上がる頃には、街ですれ違うクルマのメーカー名とモデル名がすべて答えられたというくらいクルマ大好き少年でした。
中学に上がると、世には"スーパーカーブーム"が巻き起こり、私も例外に漏れずカメラ片手に高級外車を追っかける日々を過ごします。
そして高校時代の就活時には、その流れからクルマ屋さんを選ぶことになります。
メーカーは現在も国内ナンバー1をひた走る、愛知県は豊田市に本社を構えるメーカーの都内の直営デーラーでした。
そこでは1982年の入社から退職までの約32年、私は数え切れないほどのクルマを運転してきましたが、運転が楽しいと思えたクルマ歴代NO,1は今でもこれで、未だ超えるものはありません。
豊田社長も本気になったトヨタ86開発ストーリー
カタログのキャッチコピーが泣かせます、
「日本人の大人たちが長い間忘れていたこと」ですよ!!
そう、私の世代より上の人達は、今よりうんとアナログなクルマを楽しそうに乗っていたと聞きます。
今より遥かに精度の低いクルマであったかわりに、自分でイジれる楽しさ、操る楽しさがあったと聞いています。
例えば箱根の山を登りながら、キャブレターのメインジェットを替えて調整しながら登ったとか、、何もかも電子制御の今では考えられないことをしていたのです。
でもクルマが進化するにつれ、故障は起きづらくなり、イジれる箇所は減っていって、クルマは単に快適な移動手段に成り下がってしまった。
もっと楽しい乗り物だったのに、、とこのクルマを作った人は思っていたに違いありません。
豊田章男社長も運転する喜びを感じられるクルマをまたつくろうと、本気になって開発段階からいろいろ注文を出したそうです。
社長がクルマ作りに細かい指示を出すんですよ、、、通常はありえないことです。
どれほどこのクルマに注ぎ込んだ思い入れが大きかったかがわかろうというもの。
そうして2012年、これまでの熱い開発ストーリーを経て、ふたたび86は世に出たのです。
※正確にいうと1983年に発売された通称86は、カローラレビン/スプリンタートレノの名称で世に出まして、通称の86は車輌型式のAE86から そう呼ばれるようになりました。
感動の試乗が先輩の快諾により実現
以下は2012年当時の感動の試乗記になります。
あれから数日経つというのに、もう次の再会が楽しみでなりません。
それはまさにハチロクのカタログの中のキャッチコピー、
「ハチロク。トヨタが、そして日本の大人たちが長い間忘れていたこと」
そのものでした。
待ち合わせの最寄り駅で待つこと数十分、排気音に振り返るとブルーの、ナンバー86が私の前に横づけされました。
オーナーは私の先輩で、公私にわたる師匠です。
今回の試乗は先輩が購入した噂を聞きつけ、その先輩が企画したゴルフコンペに参加すればコースまでの往復路を運転させてもらえるかと打診したところ、快諾して下さって実現したものだったのです。
驚愕のハンドリングと官能的なエキゾーストサウンド
車内に乗り込むと、トヨタで一番ヒップポイント(※1)が低いと聞いていたものの、思いのほか視界は良好でした。
走り出してすぐにこれでノーマル?と感じるほど足回りが固いことに気がつきました。
やがて高速道に入っていくのですが、そのハンドリングに驚愕します、意のままに曲がっていくのです。
高速道路の料金所を抜けて高速道本線に入る途中に長いカーブがありますが、ほんの少しハンドルを切っただけで方向が変わる、これほどダイレクトなハンドリングをもつ車には国産、外車でもお目にかかったことがありませんでした。
それほど素晴らしかったです。
本線に入る際、遠慮しつつ加速してみました。
サウンドクリエーター(※2)のせいか、前からはエンジン吸気音が、後ろからはTRD製の4本出しのタイプに交換されたマフラーからクルマ好きにはたまらない官能的なエキゾーストサウンドを奏でていました。(もちろん車検対応用のマフラーです。)
普段マイカーで高速道を走る時は、私の子供たちがまだ小さいこともあり、追い越し車線にはほとんど出ないのですが、この日ばかりは追い越し車線は譲れない心境になっていました。
年甲斐もなく血がたぎってしまったのです。
抑えられない感情でした。
ハチロクで高速道を走る際はレーダー探知機の装着が必須だと思いました。
抜群の走行安定性能に加え、速度計の頂点が260キロ表示となっているので常用速度域だと全然速く感じないのです。
コレはまるで生きているかのようなオートマチックトランスミッション
高速道を降り一般道に出てほどなくして、新しい感激を味わいました。
先輩のハチロクは6速オートマチックトランスミッション車だったのですが、マニュアルモードを選択して5,4,3とシフトダウンしていくとコンピューターがブリッピング(エンジンの空吹かし)しながら減速してくれるのです。
これはマニュアルミッション車で行うダブルクラッチ(※3)の操作に相当します。
コレがまるで生きているかのようにタコメーターの指針が振れていました。
ゴルフを楽しんだ帰路も運転させていただきました。
いつもなら退屈で眠気が襲ってくるのですが、今日は興奮して全くそんなことはありませんでした。
馬力だけに着目したらハチロクより速い車はたくさんあるでしょう。
でもこの車は数値では計れない、ドライバーの感性に語りかけてきます。
このページを覗いているあなたにもぜひ乗って体感してほしいです。
きっとまたその次も乗りたいと思うハズ。
最後にこの先輩のハチロクには、すでにもう1台ハチロクが買える位のパーツ代がかかっていたことをお伝えしておきます。
なんて潔いお金の使い方なんでしょう!
注1:シートに着座した時の腰の高さ。この数値が低いほど一般的には前方視界は悪くなる。
注2:エンジンの音が車内に入るよう作られた仕掛け。一般的には走行時の静粛性をあげるために採用しないが、ハチロクには吸気音、排気音も楽しんでもらおうとあえて採用された。
注3:必要以上に車両が減速しないように考えられたテクニック。
マニュアルミッション車で、クラッチを切る → エンジンを空ぶかしする → シフトダウンする をほぼ同時に行う。そうすることでエンジンブレーキが必要以上にかからず、次の加速態勢に入りやすくなる。昔のレーサーは皆行った操作です。
【試乗日:2012年5月、行き先:茨城県の石岡カントリークラブ】